MENU

ストレス耐性が低いんじゃなくて、戦い方が合ってないだけだった

目次

最初に言っておく結論

俺はずっと「自分はストレス耐性が低いのかもしれない」と思ってた。

強く言われたら引きずる。仕事中に嫌なことがあると、なかなか仕事に戻れない。誰かの態度や言葉が頭を占領して、本来やるべきことが手につかなくなる。そういう自分を、どこかで「弱い」と感じていた。

でも、いろいろ考えていくうちに気づいた。

問題は耐性の低さじゃなくて、戦い方が合っていないことだったんだと思う。

「イラッとしたら負け」という言葉が有名なアスリートの発言として広まっていて、俺もそういう考え方に憧れていた。感情に動かされない人間になりたかった。でも、それって実際にどういうことなのかを、ちゃんと自分ごととして落とし込んでいなかった。

今回は、自分のストレス対処のクセを掘り下げながら、「感情をなくすことじゃなく、うまく処理して戻れるようになること」について書いていく。


「イラッとしたら負け」は本当か

あのフレーズ、正確に言うと「イラッときたら、負けだと思ってるんで」という発言はどうやら実際に存在するらしい。記者から「変なことを聞かれてイラッとすることはない?」と聞かれたときの返答として、言っているみたいだ。

さらに「コントロールできないものはコントロールしようとしない。試合の中でコントロールできることをまずコントロールしたい」という考え方も本人の言葉として確認できる。

ただ、それをベースにして「怒るのは弱さの証明」「感情を一切持たない強者」みたいな文脈で語られているものは、かなり話が盛られていることが多い。

もうひとつ面白いのが、連敗が続いたときに「負けが込んでくると、人間誰しもそういう感情は出る」とも言っているし、珍しく感情を表に出した翌日には「もう忘れました」と返している。

つまり、感情がゼロなんじゃなくて、引きずる時間が極端に短い人なんだと思う。

感じることは感じる。でも、すぐ切り替えられる。

これが本当の意味での「強さ」なんじゃないかと思った。


自分のストレス対処のクセを棚卸しした

あるとき、自分が無意識にやっているストレスの軽減方法に気づいた。

強く言われたとき、その場では言い返せない。でも、頭の中では「本当はこう言いたかった」「これはこっちにも理由がある」「そもそもあの言い方はおかしいだろ」って、かなりガッツリ言い返している。心の中だけで。

ミスをしたときも同じで、「これはこういう事情があったから」「この状況ではあれが正しかった」みたいな言い訳というか、自分を守る理由をひたすら探して、納得できるポイントを見つけて、ようやく心が落ち着く。

それと、人がいると自分のことが考えられないというのも気づいた。

他の人がいると、その人の言動とか空気とか動きとか、全部が気になってしまう。だから自分の感情を整理する余白がなくなる。一人になって初めて、「あ、さっき腹立ってたんだ」「あれが嫌だったんだな」ってわかる。


この対処法は、悪いわけじゃない

最初は「こういう考え方の癖が問題なんじゃないか」と思っていた。

でも、よく整理してみると、この無意識の方法はちゃんと機能している部分がある。

その場で爆発しない。一人で処理しようとする。自分を完全に壊さないように守っている。これは、雑に感情をぶつけるより、ずっとまともな対処法だと思う。

問題があるとすれば、処理が長引きすぎることだ。

心の中で言い返す時間が長くなりすぎる。納得できる理由を探し続けて、頭の中の「裁判」がいつまでも終わらない。その間、仕事が止まる。他のことが考えられなくなる。

それが積み重なって「自分はストレス耐性が低い」という自己評価につながっていたのかもしれない。


本当の問題は「処理が終わらないこと」だった

ここが一番大事なポイントだと思う。

ストレス耐性が低いというより、感情が未処理のまま残るのが苦手なタイプなんだと思う。

処理したい。だから考える。でも考えすぎて終われない。

「100%納得できるまで終わりにしない」という無意識のルールが、この長引きを生み出している。

でも、実際のところ100%納得できない場面なんていくらでもある。相手の言い方がひどかったとして、それが正当化されるわけじゃない。ミスをしたとして、理由がいくつあっても、した事実は変わらない。

だから、目指す終わりのラインを変える必要があった。

**「完全に納得できたら終わり」じゃなくて「次に進めるなら終わり」**にする。

これだけで、かなり変わる気がしている。


感情処理を短く終わらせる技術

具体的に「どうすればいいか」も考えてみた。

その場でやること:「離れる→ゆるめる→1個やる」

嫌なことがあったとき、まずその場を30秒だけ離れる。トイレでも水を飲むのでも何でもいい。とにかく物理的に距離を置く。

次に、体を落ち着かせる。鼻から吸って口から吐く、それを5回。あるいはこぶしをギュッと握って、パッと開く。肩をすくめてストンと落とす。考える前に、まず身体を先に落ち着かせる。

そして「今やる1個だけ」を決める。この作業だけ終わらせる。この1件だけ返す。これだけ。「なんであんな言い方したんだ」は一旦禁止で、今やることだけに戻す。

あとでやること:3行で終わらせる

一人になったとき、メモに3行だけ書く。

  • 何が嫌だった?
  • 本当はどうしたかった?
  • 次はどうする?

これ以上は掘り下げない。分析に入ると止まらなくなる。

ポイントは「次はどうする?」を必ず入れることだ。これがないと、ぐるぐる考えて何も変わらないという状態になりやすい。具体的な一手があると、頭が「終わっていい」と判断できる。

感情に時間を決める

モヤモヤは自然に始まると長い。だから枠を決める。

「この件は10分だけ考える」「タイマーが鳴ったら終わり」「終わったら別のことをする」。

考えないようにするのは難しい。でも「時間を区切って考える」はできる。

終わりの言葉を固定する

考えすぎる人は、終わり方がない。だから固定の言葉を決めておく。

「気持ちはわかった。次に進む」「もう一回考えた。今日はここまで」「完全には納得してないけど、いったん終わり」

なんでもいい。自分が「終わった」と感じられる言葉を持つ。


反芻が始まったら問いを変える

もうひとつ気づいたことがある。

頭の中でぐるぐるするとき、たいていこういう問いを立てている。

  • なんであんな言い方されたんだ
  • なんで自分ばっかり
  • なんでうまく返せなかったんだ

これは全部「原因探し」の問いだ。原因を探しても、過去は変えられない。だから終わらない。

これを「対処探し」に変える。

  • 今回の事実は何だった?
  • 自分にできる修正は一つある?
  • 今やるべきことは何?

ここに切り替えると、頭が「考えることがある」という状態から「考えることが終わった」という状態に移れる。


コントロールできるものとできないものを分ける

「コントロールできないものにエネルギーを使うな」という考え方は、ずっとかっこいいと思ってきたけど、自分ごとにするのが難しかった。

改めて整理してみると、本当にシンプルだった。

他人の言い方、他人の機嫌、他人が自分をどう評価しているか。これは全部、自分ではどうにもならない。

自分が次にどう行動するか、どう返すか、どう整えるか。これは全部、自分で決められる。

問題は、コントロールできない側に頭のリソースを全部使ってしまうことだ。

あの人がああ言ったのはなんでだろう、あの態度の意味は何だろう、どう思われているんだろう。これをひたすら考えても、答えは出ない。相手の中にしかないから。

「これは今考えても答え出ない。この件は後で1人で回収する。今は仕事に戻る」と心の中で保留にする。スマホのメモに一言だけ残して、あとで見る。

もしその時間に「もうどうでもいいな」となっていたら、それで終わりでいい。


ストレス耐性が低いわけじゃなかった

最初の問いに戻る。

俺はストレス耐性が低いのか。

たぶん、違う。正確に言うと、外からの刺激に敏感で、その場での切り替えが苦手なタイプなんだと思う。

受け取りやすさは高い。考え込む深さもある。でも、その場での切り替えは弱め。一人でじっくり回収する力はある。

だから必要なのは「もっと鈍感になること」じゃなくて、

  • 受けたストレスをその場で少しだけ流す技術
  • あとで考えすぎず、短く終わらせる技術

この2つだと思う。


目指すのは「感じない人」じゃなくて「戻れる人」

最終的にここに着地した。

感情をなくしたいわけじゃない。何も感じない人間になりたいわけじゃない。

傷つくのは、ちゃんと傷つく。腹が立つのは、腹が立つ。落ち込むのは、落ち込む。

それは変えなくていい。変えたいのは、そこから戻るまでの時間だ。

崩れすぎない。自分を見失わない。戻ってこられる。

「イラッとしたら負け」が言いたかったのも、きっとここだと思う。イラッとしないことじゃなくて、イラッとしても戻ってこられること。

ストレス耐性を上げるというのは、鋼のメンタルを手に入れることじゃなくて、感情の回収と処理を、もう少し上手に短くすることなんだと思っている。

それが今の俺の、一番しっくりくる結論だ。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次